アンガーマネージメント
家族のため、職場のためと、気持ちを抑え続けてきた結果、ある日ふと、抑えきれない怒りに戸惑うことがあります。
「怒りの感情」は、とても扱いが難しく、そしてとても苦しい感情です。
怒ってしまったあとに自己嫌悪に陥ったり、「どうしてあんな言い方をしてしまったのだろう」と後悔した経験がある方も、少なくないのではないでしょうか。
この記事では、単に怒りを抑え込むのではなく、怒りの奥にある切ない想いや、本当の気持ちに耳を傾けながら、感情を健全に扱っていく視点についてお伝えしていきます。
怒りからわかる深層心理
怒りの感情は、自分が大切にしている価値観や信念が侵されたと感じたときに生まれます。
怒りがこみ上げた時の場面を、少し振り返ってみてください。
- そもそも、私はなぜあんなに激怒したのだろう?
- あのとき本当は、どうしてほしかったのだろう?
- 私は、何を守ろうとしていたのだろう?
こうした問いを立てていくと、怒りの裏側には、ずっと大切にしてきた想いや、本当は分かってほしかった気持ちが隠れていることに気づくかもしれません。

怒りは「自分の本質」を守ろうとする反応
怒りを通して私たちは、自分の価値観や尊厳、これまで積み重ねてきた人生観を守ろうとしています。
つまり怒りとは、自分の内側にある本質が傷ついたというサインでもあるのです。
怒りは二次感情
アドラー心理学では、怒りは単体では存在せず、必ずその前に一次感情がある「二次感情」だと考えられています。
例えば、
- 悲しみ
- 悔しさ
- 苦しさ
- 強いストレス
こうした感情がうまく処理されないまま積み重なると、私たちは無意識に「怒ることで状況を動かそう」としてしまいます。
些細な一言に強く反応してしまったり、
本当は寂しいだけなのに、
ついきつい言葉で返してしまったり。
そこには、「怒り」そのものよりも、置き去りにされた感情が隠れていることが多いのです。
これは決して悪意ではなく、幼い頃から周囲の大人の振る舞いを見ながら、生き抜くために身につけてきた対処法だと考えることができます。

「怒り」が持つ代表的な目的
怒りには、主に次のような目的があります。
- 相手を支配する
- 優位に立つ
- 自分の権利を守る
- 正義感を通そうとする
怒りのエネルギーで相手を圧倒し、力によって状況を収めようとするのです。
怒りは一時的な解決にしかならない
怒ることで、その場は収まるかもしれません。
けれどそれは、一時的な解決にすぎません。
怒りによって問題が解決したという体験を重ねると、無意識のうちに「怒ればなんとかなる」と学習してしまいます。
その結果、些細なことにも怒りが反応しやすくなり、自分自身も周囲も、疲弊してしまうことがあります。
さらに、怒りを向けられた側も、本当の意味で納得することは少なく、反発心やわだかまりを残してしまう可能性が高くなります。
それでも、わかっているのに変えられない理由
同じ怒りを繰り返してしまうと、「自分の努力が足りないのでは」と不甲斐なさを感じる方もいるかもしれません。
けれど、それは努力不足ではありません。
怒りの根は、長い時間をかけて心の深層に染み込んでいることが多く、一時的な対処やセルフワークだけでは届かない領域があるのです。
アンガーマネジメント
アンガーマネジメントとは、怒りや悲しみ、劣等感といった感情を否定せず、客観的に見つめ直しながら、自分自身の内側を整えていくためのスキルです。
怒りの原因を理解するための3つの質問
怒りが湧いてきたとき、次の3つの質問を自分に投げかけてみてください。
質問①
私は、何が嫌で怒ってしまったの?
質問②
本当は、どうしてほしかったの?
質問③
私は、何を守ろうとしていたの?
答えを探しているうちに、感情が少しずつ落ち着いてくることがあります。
理性が働くまでの「6秒」
脳の仕組み上、怒りが生じてから理性が働くまでには、約6秒のタイムラグがあるといわれています。
その間に、上記の3つの質問を自分に問いかけることで、感情に飲み込まれにくくなっていきます。

怒りを書き出す
感情が収まらないときは、怒りを紙に書き出し、外に出すようにしてください。
内側に溜め込まず、言葉として吐き出すことで、心は少し軽くなります。
日々のセルフケアも大切に
心と身体は、密接につながっています。
疲労や睡眠不足が続くと、感情はどうしても揺れやすくなります。
リラックスする時間を大切にしたり、心に余白をつくるための日々のセルフケアは、怒りに振り回されないための大切な土台です。

怒りを感じる相手と向き合うとき
感情が高ぶっているときの対話は、誤解や衝突を生みやすくなります。
そんなときは、相手を責める言葉ではなく、自分の一次感情を伝えることを意識してみてください。

I(アイ)メッセージで伝える
- 「〇〇と言われて、とても悲しかったです」
- 「悔しい気持ちになりました」
- 「不安になってしまいました」
このように、自分の感情を正直に伝えることで、対話が穏やかに進む可能性が生まれます。
整えることで、怒りは静かにほどけていく
怒りは、なくすべきものでも、押さえ込むべきものでもありません。
それは、これまで自分が無意識下で大切にしてきた価値観や想いが、傷ついてしまっていることを知らせてくれるサインでもあります。
もし今、怒りの奥にある想いに少し触れられたと感じたなら、それはご自身の心が整う準備ができつつあると捉えてみてください。
感情は、無理に変えようとするほど、かえって強く反発することがありますが、丁寧に向き合い、理解し、整えていくことで、怒りは少しずつ役割を終え、本来の自分らしさへと戻っていきます。
心のあり方を整えることは、感情に振り回されないためだけでなく、これからの人生を、より穏やかに、より自分らしく生きていくための土台をつくることでもあります。
人と比べたり、焦る必要はありません。
今のご自身の心の声に耳を傾けるところから、始めてみてください。
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